SUSTAINABILITY
持続可能な
社会
SUSTAINABILITY
CONTEST
サステナビリティコンテスト2023
6回目となる今回は、海外を含む340組の応募がありました。4つの項目(価値の創造、コミュニケーション、取組姿勢、発展性)を選考基準として評価し、グループ各社の経営陣、社員によるオンライン審査・投票の結果、最優秀賞1組、優秀賞5組、入賞10組が決定しました。
6回目となる今回は、海外を含む340組の応募がありました。4つの項目(価値の創造、コミュニケーション、取組姿勢、発展性)を選考基準として評価し、グループ各社の経営陣、社員によるオンライン審査・投票の結果、最優秀賞1組、優秀賞5組、入賞10組が決定しました。

2023年 最優秀賞
気候変動リスクの定量評価が可能なグローバル「将来洪水ハザードマップ」の提供

MS&ADインターリスク総研
データアナリティクス部 / リスクマネジメント第5部 /
DI開発部 / DI企画部 / デジタル営業部
Overview
取組概要

近年の自然災害の激甚化・頻発化を受けて、気候変動のリスクの一つである洪水リスクについて、気候変動が顕在化した場合の企業への影響を把握したいという、定量分析のニーズが高まっている。しかし、使用可能なツールは限られているのが現状だ。そこで、MS&ADインターリスク総研は、「LaRC-Flood®プロジェクト※」の一環として「将来洪水ハザードマップ」を開発し、同マップの無償公開と新たなコンサルティングサービスの提供を開始した。※Large-scale Risk assessment of Climate change for Floodの略。東京大学生産技術研究所 山崎研究室、芝浦工業大学工学部土木工学科 平林研究室、持株会社、インターリスク総研の4者で「気候変動による洪水リスクの大規模評価」を行うことを目的に立ち上げたプロジェクト。

社会課題

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気候変動に伴う災害の激甚化
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将来洪水リスクの定量分析ニーズは高まっているが使用可能なツールが限られている
- 気候変動による洪水リスクの変化を定量的に評価するためには、温暖化時の浸水頻度や浸水深の情報である「将来の洪水ハザードマップ」が必要だが、気候モデル予測に含まれる推定誤差のために構築が困難だった。また、将来の洪水規模の変化を考慮せず、現在のハザードマップのみから算定する従来の手法では、潜在的な洪水リスクを見逃している可能性がある。

課題解決

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産学連携の研究プロジェクトで「将来洪水ハザードマップ」を開発
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仕様を高度化したハザードマップを活用し、新たなコンサルティングサービスの提供を開始
- 世界全域で定量的な影響評価を可能にし、気候変動が顕在化した場合の物理的リスクの把握を支援する。
OTHER PRIZES その他の賞
優秀賞
Nature Based Solutionとしての「野焼き保険」創設による稼ぐ地方創生の実現
熊本県阿蘇地域の草原の野焼きは、景観維持と生物多様性保全に重要な伝統的手法ですが、火災事故や訴訟リスクが課題です。そこで、環境省や熊本県に協力を依頼し、過去の第三者賠償事故について調査してもらい、肥後銀行とも連携して賠償責任保険を発売しました。この取組みは、自治体や金融機関、県民からの信頼を得て、MS&ADグループのブランド力向上にも寄与しました。
三井住友海上
優秀賞
キッチンカー事業者との連携による
地域社会の回復力と強靭性向上への貢献
最近の災害の激甚化により、避難生活が長期化し健康不安が増しています。国は避難所の環境改善を進めていますが、食糧支援には課題が残ります。そこで、「一般社団法人 日本キッチンカー経営審議会」と連携し、自治体とともに、被災地近郊から避難所へキッチンカーを派遣する仕組みを企画しました。内閣府とも連携し、費用の公的負担も検討中です。この取組みは、地域社会の回復力と強靭性の向上に貢献することをめざしています。
三井住友海上
優秀賞
雹災害における大口顧客(販売者等包括契約)の損害調査迅速化による早期支払の実現 ~調査後の整理業務を効率化:
ChatGPTでVB-Scriptのプログラムコードを取得~
近年、雹災害による被害が続き、販売店の在庫車両は1台1台の損害確認が必要です。この作業は神経を使い、体力的にも厳しく、ミスが多発します。そこで、車両確認や損害額調査以外の写真整理にデジタル技術を活用し、ChatGPTを用いて効率化を図りました。支援者の意見を反映しながら、工程を短縮。今後は災害対応だけでなく、画像解析やEDR調査の高度化にもデジタルを活用し、業務効率化を進めます。
あいおいニッセイ同和損保
優秀賞
日本初となるスマートフォンで全ての手続きが完結できる、資産形成・運用型の生命保険商品「AHARA(アハラ)」を開発
長寿社会では自助努力による資産形成が重要ですが、金融リテラシー不足が「貯蓄から投資へ」の移行を妨げています。同社は高齢者向けに資産運用商品を提供してきましたが、Y世代やZ世代向けに少額保険料でスマホ完結の「AHARA」を開発しました。これにより、若い世代に生命保険を資産形成の選択肢として浸透させ、市場拡大をめざします。また、金融機関窓販でも、「AHARA」で得たノウハウを活用します。
三井住友海上プライマリー生命
優秀賞
Insure Tech企業と提携し、自動車保険請求詐欺の予測を強化。
Insurance Asia Awards 2023 Claim Initiative of the Yearを受賞
不正請求は、保険料引き上げを招き、偽装事故の被害者は身体的・精神的なダメージを受けます。シンガポールでは、自動車保険の約20%が不正請求で、その損失は約110億円に達しています。そこで、Fermion社のAI技術「Truesight」を活用し、業界全体でデータへのアクセスを可能にし、データ分析の自動化を実現。これにより、経費削減と迅速な保険金支払いが可能となり、不正請求の支払いも減少しました。今後は他の種目にも展開していきます。
MSシンガポール現地法人
代表者のコメント
近年、洪水の激甚化・頻発化により、将来洪水リスクの定量分析ニーズは高まっていますが、使用可能なツールは限られていました。信頼性のある手法を開発すべく、国際査読誌への投稿において、英語での論文執筆は困難を極めましたが、東京大学・芝浦工業大学の先生方の協力もあり、信頼性が高い将来洪水ハザードマップの構築に成功しました。社会課題の解決には産学連携やベンチャー企業とのアライアンスが重要であると再認識しました。コンサルサービスを通じた社会実装を進めるとともに、本取組みを通じて得た洪水・気候変動に関する知見を気候変動リスクの低減やプロテクションギャップの削減、MS&ADグループ内の保険収益改善などに活用していきたいです。
MS&ADインターリスク総研
データアナリティクス部 / リスクマネジメント第5部 /DI開発部 / DI企画部 / デジタル営業部
評価ポイント
サステナビリティコンテストの最優秀賞をいただけるとのこと、誠にありがとうございます。私たちの研究室では学術研究として全球河川洪水モデルの開発を進めてきましたが、MS&ADグループとの共同研究を通して、研究プロダクトが気候変動時の洪水リスクを把握できるツールとして民間でも活用されるようになったことを大変うれしく思っています。今後も洪水シミュレーションの精度をさらに高めていくことで、将来のリスクの把握だけでなく社会の行動変容に繋げられるような情報を創出し、気候変動対策の推進に貢献していきたいと考えています。
東京大学 生産技術研究所
山崎 大准 教授
木村さんが「相談がある」と研究室を訪ねてくださった日を今でも憶えています。昔の学生と共同研究ができることは、研究者冥利に尽きます。関係者の皆さまのご支援・ご尽力のおかげで世界に貢献するプロダクトができたと思っています。我々大学の研究者だけではできない、研究成果の実際の社会実装までを検討・進められることも、LaRC-Flood®プロジェクトの素晴らしい点だと思います。本プロジェクトの成果が、途上国などの洪水に対するレジリエンスを高める一助になれば幸いです。
芝浦工業大学
工学部土木工学科
平林 由希子 教授