SUSTAINABILITY 持続可能な社会

洪水ハザードマップの提供

気候変動のリスクの一つである洪水リスクについて、気候変動が顕在化した場合の企業への影響を把握したいという要望が寄せられています。MS&ADインターリスク総研は、芝浦工業大学・平林由希子教授、東京大学生産技術研究所・山崎大准教授のご協力のもと、研究成果の一つである気候変動による洪水頻度の変化の度合いを2018年からWebサイト上で公開しました。2023年4月には気候変動シナリオに基づく将来の河川洪水ハザードマップも一般公開し、将来の浸水深の変化も確認することが可能になりました。

社会課題

気候変動による洪水リスクの変化を定量的に評価するためには、温暖化時の浸水頻度や浸水深の情報である「将来の洪水ハザードマップ」が必要でしたが、気候モデル予測に含まれる推定誤差のために構築は困難でした。一方で将来の洪水規模の変化を考慮せず、現在のハザードマップのみから算定する従来の手法では潜在的な洪水リスクが見逃されている可能性があることに気づきました。

解決策

気候モデルによる将来の洪水頻度変化と高精度な気候再解析データを組み合わせるルックアップ手法を用いるとバイアスが適切に補正されることがわかりました。またグローバル河川水動態モデルにより地球全域をカバーする「将来の洪水ハザードマップ」を開発し、一般公開を始めました。

社会へのインパクト

「将来の洪水ハザードマップ」は、2023年3月に公表された国交省のガイドラインで、利用可能な将来洪水ハザード情報として紹介されました。一般公開された広域洪水ハザードマップを通じて企業や行政による気候変動に伴う洪水リスクの変化の把握を後押しし、気候変動適応の促進や事故防災対策に貢献することが期待されます。

当社への経済的インパクト

仕様を高度化したハザードマップを活用し、新たなコンサルティングサービスの提供を開始しました。世界全域で定量的な影響評価を可能にし、気候変動が顕在化した場合の物理的リスクの把握を支援していきます。

事業機会の創出

より詳細な情報が必要なお客さま向けにコンサルティングサービスを提供しています。コンサルティングサービスでは、気温上昇のシナリオごとの被害額などを算出し、物理的なリスクの把握を支援しています。