SUSTAINABILITY 持続可能な社会

TCFD対応支援

気候変動に伴う自然災害リスクの影響を評価するサービスを提供し、企業の情報開示を支援する

近年は、干ばつや大規模水害等の自然災害が世界各地で頻発し、企業活動に大きな影響をおよぼしています。
こうした中、金融安定理事会(FSB)が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、企業に気候関連のリスクを財務情報として開示することを推奨すると発表しました。
企業が複数の気候変動シナリオを想定し、自社のビジネス、戦略、財務計画が「どの程度、レジリエントであるか」を説明することが期待される中、MS&ADインターリスク総研は、MS&AD Venturesの投資先である米国Jupiter Intelligence社と提携し、気候変動の激化が企業に与える影響を将来のシナリオに基づいて分析・評価するサービスを展開しています。

社会課題気候変動リスクの顕在化と更なる激化
  • 気候変動リスクの顕在化と、更なる激化が懸念される。

  • 企業・金融機関に将来の気候変動リスクを評価・管理・開示することを求める「TCFD提言」が急速に主流化。シナリオ分析においては、脱炭素社会に移行することによる事業へのさまざまな影響(移行リスク)のほか、気候変動の影響によって激化するとみられる自然災害等の「物理的リスク」も考慮する必要がある。

  • 最近ではシナリオ別に想定される炭素価格等を用いて定量的な影響評価を行う企業が増えてきているが、物理的リスクについては、一部の金融機関を除けば、気候変動モデルに基づく精緻な定量評価事例は限られている。

TCFD提言への賛同機関数(世界)
解決策スタートアップと連携した、気候関連の情報開示支援
  • MS&ADインターリスク総研と、気象モデルのエキスパートであるジュピター社が連携。

  • ジュピター社のシステムにより、全世界を90メートル四方という高い精度で洪水や風災といった自然災害リスクを分析。

  • 将来の気温上昇シナリオに合わせて、2020年から5年刻みで2100年までAIでシミュレーションを行い、風災の最大風速や洪水による浸水の深さの予測も実現。

  • 更にはMS&ADインターリスク総研の持つ情報を使って、水害による被害想定額も算定。TCFDの提言に沿った企業の情報開示を後押しする。

TCFD向け気候変動影響定量評価サービス

社会へのインパクト

Jupiter社での
分析拠点数

6,110拠点

(2020年7月~2021年6月末)

  • 企業は自然災害が自社の工場やオフィス等に与える被害を事前に把握できる。

  • 自然災害による巨大集積リスクへの対応力を強化。

  • 金融機関においては、投融資ポートフォリオのリスクが把握できる。

  • 気候変動を踏まえた高度な事業判断(立地/サプライヤー選定、ポートフォリオの見直し、防災対策等)が可能となり、社会全体のレジリエンス向上につながる。

当社への経済的インパクト

気候変動分野の
コンサル受託額の増加率

前年度比約70%増

(2020年度)

  • 重要な経営課題に関わる支援により、顧客企業と中長期的な関係強化が図られ、保険・サービス、コンサルティング等、取引深耕に貢献。

  • 保険営業とのシナジーにより、保険マーケットが拡大。

  • MS&ADインシュアランス グループにおける自然災害リスク管理の高度化や、気候変動リスクを考慮した保険引受・商品開発やサービスの拡大。

  • 多くの実績を積むことで、当社グループのレピュテーションが向上し、コンサルティング関連の業務委託が増大。

事業機会の創出

洪水リスクの高いアジアで、
自然災害対策支援を含めた
ワンストップサービスを展開

2030年に、10年に一度の河川水害によって
被害を受ける世界のGDP(国内総生産)総額

17兆ドル

その損害の半分が

アジア、特に中国とインド

で発生すると推定

(世界資源研究所(World Resource Institute)
2020年報告書)

  • 気候変動による洪水リスクが最も高いアジアに資産や製造拠点、サプライチェーンをもつ企業のニーズが拡大する。

  • 現場の自然災害対策支援までのワンストップサービスを提供することで、他社にはないサービスを提供。

  • 事業拠点の分析からバリューチェーンの評価にまで拡大させることで、新たなサービスの提供が可能になる。

  • ジュピター社のモデル精度の向上や、技術を活用した金融機関向けの融資ポートフォリオ評価スキームの構築により、評価指標の幅が増加する。

  • 三井住友銀行が当社グループのサービスを通じて、気候変動シナリオ分析を高度化し、TCFDに沿った情報開示を行った。今後情報開示の基盤として、AI技術を活用した気候変動シナリオ分析手法が日本企業に幅広く浸透する可能性がある。

パートナーのコメント

気候変動による自然災害リスクの影響を全世界対象に評価

当社の気候リスク予測ツール、グローバル気候スコア(Global Climate Score)は、最も包括的で科学的に精密なサービスです。これらは世界で最も優れた気候科学モデルを全て組み込み、世界中のお客さまに適した条件で影響の予測を行っています。世界の大半の企業は、自社に影響をおよぼす気候変動リスクを正確に把握しないまま経営を続けています。このサービスを利用することは、マネジメントプロセスを変えるすばらしい一歩になります。既にお客さまからは、リスクをより正確に予測できるようになったと聞いています。

Richard Sorkin

Jupiter Intelligence社 CEO

Richard Sorkin